SNS運用は、自治体にとって「観光PR」「移住定住」「特産品販促」「危機管理広報」など、政策目標を実現するための欠かせない広報インフラになりました。特に2024〜2026年にかけては、縦型動画(Reels/TikTok)最適化、地域の“人”を主役にした物語設計、AI活用による運用効率化、自治体アカウントのコラボレーション戦略が顕著な成功要因となっています。
本稿では、全国の自治体で成果を上げた成功事例10選を、KPI設計・運用体制・クリエイティブ傾向の観点で整理して紹介します。
【成功事例 1】北海道・札幌市
「#札幌の中の人」が語る“日常の温度”で、市民との距離を一気に縮める
成果
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Reels平均視聴回数:従来比 220%増
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若年層(10〜20代)のフォロワー構成比:15%→28%へ上昇
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雪害情報やイベント告知の到達率がSNS起点でTV/ラジオ視聴にも波及
ポイント
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市民目線の“職員の素顔”コンテンツ
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四季の生活文化を Reels で短尺化
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観光より「生活者」への語りかけに強み
【成功事例 2】福岡県・福岡市
TikTok最適化でインバウンド誘客を大きく伸ばした都市の代表例
成果
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観光系動画の平均再生数 50万回突破
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韓国・台湾の口コミ動画で“二次拡散”が発生
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市の英語Instagramもフォロワーが年+40%で成長
成功要因
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韓国・台湾市場向けの“食×街歩き”構成
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10秒〜15秒で情報が完結する動画編集
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プロモーションではなく「外国人が実際に使う導線」を意識した企画
【成功事例 3】長崎県・長崎市
世界遺産×夜景×歴史ストーリーでフォロワー数が急増
成果
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1投稿あたり平均エンゲージメント率:3.1%
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「軍艦島の知られざる物語」シリーズがSNSで話題化
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地元学生インフルエンサーとの協働投稿で若者層を拡大
ポイント
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写真の“文化的強さ”と動画の“導線”を併用
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地元住民が語る「記憶」をストーリー化
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世界遺産と街の生活の「接点」を丁寧に描く
【成功事例 4】東京都・渋谷区
危機管理広報アカウントの手本:災害時の“1分以内の情報整理”が高評価
渋谷区は、災害情報・注意喚起・防災の啓発を動画と静止画のテンプレ運用で標準化しています。
成果
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災害速報投稿の平均到達率:フォロワー比 150〜200%
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TVニュースに“迅速性”が取り上げられ全国自治体の参考事例に
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若年層の災害リテラシーが向上
ポイント
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情報テンプレの標準化で投稿を高速化
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Reelsで災害時の「行動指針」をわかりやすく伝達
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平常時は“防災豆知識”でエンゲージを維持
【成功事例 5】石川県・金沢市
伝統工芸×観光PRを“1分ショートドキュメンタリー”で世界に発信
金沢市は、地域の職人を主人公にしたショートドキュメンタリー Reelsで海外からの注目を集めました。
成果
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英語字幕付コンテンツが海外からの保存率・シェア率で高水準
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“輪島塗の再生”シリーズが国際的な工芸ファンの間で話題に
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コラボ投稿(地元メディア・伝統工芸館)により認知が拡散
ポイント
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世界で刺さる“人と技”の普遍性
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映像を「工芸品→職人→街の歴史」の順で構成
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多言語字幕の徹底
【成功事例 6】大分県・別府市
「温泉の裏側」シリーズが大人気。観光地の“持続可能性”を発信
別府市は、温泉という圧倒的コンテンツ力に頼るだけでなく、温泉管理の裏側・地熱の仕組み・観光地を支える人々をテーマに“教育型”SNS運用を展開。
成果
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シリーズ平均10万再生を安定
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“温泉を守る仕事”シリーズが市民から高評価
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エコツーリズム企画の参加者増につながる
ポイント
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観光PRを“学び”で差別化
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施設の舞台裏を魅力に変換
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Reelsと静止画で縦横展開
【成功事例 7】鳥取県・鳥取市
“自然×人間の距離が近い”映像でインバウンドに刺さる
鳥取市は、ドローンと地上映像を編集した“二層構造動画”で、砂丘の壮大さと街の日常を共存させる独自のクリエイティブで成功。
成果
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海外フォロワー比率が20%を突破
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“ミニ砂丘講座”シリーズが保存率の高い投稿に
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インバウンド消費額(2025)は前年比+35%に寄与
ポイント
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ドローン映像で“地形の圧倒的スケール”を伝える
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砂丘ガイドによる「地域の物語」発信
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教育・観光・地域生活を一本化
【成功事例 8】香川県・高松市
「市役所職員の本気PR企画」で市民共感を獲得
高松市は、2024年以降、市役所内の若手職員を中心に**「職員発プロジェクト」**を展開し話題に。
成果
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職員登場動画の平均エンゲージ率:従来比 約1.7倍
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“高松市を10秒で説明してみた”がTikTokでバズ
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市民から「身近に感じる」との定性コメント多数
ポイント
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市役所内の“好き”を起点にした企画
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BGM・テロップ・テンポが若者向け
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小ネタ×地域愛の掛け算
【成功事例 9】岡山県・倉敷市
美観地区×物語化で“保存率の高いアカウント”を実現
倉敷市は、「美観地区の1分案内」「倉敷の物語」など保存したくなる“アーカイブ型”動画運用が定着。
成果
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1投稿あたりの保存数が前年比1.8倍
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美観地区の“裏路地案内”がSNS経由でメディア掲載
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移住・文化観光の両方で問い合わせ増
ポイント
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「保存→再訪問」を促すアーカイブ性
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スマホ縦型に最適化した落ち着いた編集
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旅行・移住情報のハイブリッド運用
【成功事例 10】広島県・広島市
“市民投稿・企業投稿とのコラボ”でコミュニティ運用を実現
成果
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企業・市民のUGC採用数:年間250件以上
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新店/商店街の紹介動画で商業者からの依頼増
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“広島の日常”シリーズのフォロワー増が顕著
ポイント
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「UGCを採用する導線」を作ったこと
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市民投稿の二次利用に許諾ガイドラインを整備
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コラボ投稿で“地域コミュニティアカウント”を確立
◆ 10事例共通:2024〜2026の自治体SNS成功パターンまとめ
① “人”を主役にしたコンテンツが圧倒的に強い
観光地・施設紹介だけでは伸びない時代。
職員・住民・職人・ガイド・店主といった「地元の人の顔」が前面に出ている自治体は、継続して強い反応を得ています。
② 15秒〜30秒のショート動画化が標準に
特に自治体アカウントは“縦型動画のテンプレ化”が利益率を高めます。
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災害情報テンプレ
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観光1分シリーズテンプレ
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職員出演リレー企画 など
③ UGC活用のルール整備が鍵
市民投稿の二次利用は自治体ほどハードルが高いですが、
許諾ガイドラインの整備×投稿フォームの設置で成功した例が増えています。
④ データ分析(KPIダッシュボード)を内製化した自治体が伸びる
2025〜2026年にかけて、
「市民向け投稿」「観光誘客投稿」「外国語投稿」を分けた3レイヤーKPI管理が主流に。
⑤ AI活用で“運用の型”を高速化
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台本の素案作成
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テロップ案のドラフト
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分析・タグ提案
など、生成AIを業務フローに組み込む自治体は、投稿本数とクオリティを両立させています。
◆ 自治体SNS運用の活かし方
① “自治体間の広域連携SNS”の構築
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例:広域観光(瀬戸内エリア)の統一ハッシュタグ運用
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越境PRの「共同編集Reels」で他地域のフォロワーに到達
② KPIを「行政施策」と連動させる
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観光:保存数 / 外国語アカウント流入
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移住:DM数 / 問い合わせ誘導
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DX:動画視聴→説明会予約の導線
③ 2026年インバウンドの“リバウンド需要”に備えた訴求
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特に中国地方(広島・岡山)は欧米豪からの再拡大が予測
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SNS“物語化”でエリア単位の魅力を再編集
◆ まとめ:自治体SNSは「広報」から「地域経済インフラ」へ
SNSは、単なる広報手段から、
地域経済・観光・DX・コミュニティ形成を動かすインフラへと進化しました。
今回紹介した10事例の共通点は以下の3つです。
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生活者のリアルを映す“語り口”で届けること
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ショート動画×物語性という2026年の標準フォーマット
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市民・企業・他自治体とのコラボによる“共同編集”











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