自治体の広報・観光・移住定住などの領域で、SNS活用はもはや「周辺施策」ではなく、政策効果を最大化するための中核施策となっている。2025年の大阪・関西万博を前に、地方自治体では「認知獲得・来訪促進・関係人口拡大」を目的にSNSの専門運用が急速に進んでいるが、成果を出している自治体には共通した“勝ちパターン”が存在する。本稿では、全国の代表的な成功事例とともに、自治体SNSで成果を最大化する運用ポイントを整理する。

■ 成功事例①:北海道北見市—“観光×暮らし”の二面性を一つのアカウントで表現
北見市は Instagram を基軸に、
①観光(雪景色・焼肉文化・流氷)
②暮らし(子育て、移住、日常の景色)
を一つのアカウントでシームレスに発信している。
自治体SNSでは往々にして「観光用」「移住用」「広報用」とアカウントが分割され、フォロワーが分散しがちだが、北見市は“地域の魅力を一体化”し、結果として フォロワー増加率が道内トップクラスとなった。
ポイントは、“地域をありのままに”伝えるビジュアル力と、一貫したトーン&マナーである。特に「お役所感を消す」ことに徹し、写真・動画の質を民間レベルへ引き上げたことが成功要因となっている。
■ 成功事例②:広島県安芸太田町—小規模自治体でもできる“ファン化戦略”
人口6,000人規模の町だが、FacebookとInstagramで観光ファンのコミュニティを形成し、フォロワーとの双方向コミュニケーションを徹底している。
安芸太田町の運用が示すのは、
「小規模自治体こそSNSの費用対効果が高い」という点だ。
有名観光地のように広告費を大量投下できなくても、
・地域住民のストーリー紹介
・四季の風景と生活文化の“温かさ”
・観光客の再訪につながる“関係人口化”
に焦点を当て、確実にファンベースを育てている。
■ 成功事例③:長野県白馬村—TikTokでZ世代に“非日常体験”を訴求
白馬村は TikTok でのショート動画戦略を導入し、若年層の来訪を倍増させた好例だ。スキー・スノーボード映像だけでなく、地元アクティビティや宿泊体験、グルメ体験、不便さすら魅力に変える「リアルな旅」を切り取った。
自然・アクティビティを持つ自治体にとって TikTok は極めて相性が良い。
成功の核は、
●「体験の没入感」
●「音楽×モーションの編集技術」
●「季節性に合わせた投稿テーマ」
の3点である。
■ 成功事例④:香川県三豊市—SNS活用で“観光地化”を実現した代表例
父母ヶ浜が“日本のウユニ塩湖”として国内外に拡散した三豊市は、まさにSNSによって地域観光の構造が変わった自治体の象徴だ。
・Instagramを中心にしたUGC戦略
・ハッシュタグキャンペーン
・プロ撮影による象徴写真の蓄積
によって、一気に観光ブランド化に成功した。
三豊市は
「SNS → 観光需要 → 宿泊・飲食・交通の民間投資誘発」
という理想的な循環モデルをつくり、
自治体SNS活用の“成功教科書”といえる存在である。
■ 成果を出す自治体SNS運用の5つのポイント
以下は、DWJの提案や自治体のSNS内製化支援でもそのまま使える 5つの成功原則 である。
①「施策目的」をSNS運用の軸に一本化する
自治体SNSは“目的が多すぎる”状態になりやすい。
観光、移住定住、防災、企業誘致、子育て支援、文化イベント…
この全てを同じアカウントで扱うと、フォロワーは「誰に向けた発信なのか」理解できない。
成功自治体は、まず
目的(KGI)→KPI→コンテンツ構造
を一本化している。
例:
-
観光誘客 → 滞在時間、来訪者数、検索 volume
-
移住促進 → 資料請求数、相談数
-
関係人口 → SNS会話数、UGC量
DWJの支援においても「KGI/KPIマッピングから始める」ことが最重要。
② コンテンツの“質”が全てを決める
自治体SNSでよくある失敗は、
「広報紙の焼き直し」「イベント告知連投」である。
成功している自治体は
●観光:圧倒的ビジュアル
●移住:地域で暮らす人物のストーリー
●子育て:生活目線のリアリティ
●防災:端的で分かりやすさ最優先
と、目的ごとにクリエイティブの質を最適化している。
特に観光分野では “映える写真は資産” であり、
自治体自身が良質な素材を撮りためる体制整備は必須。
③ “住民参加”でUGCを増やし、拡散の土台を作る
三豊市をはじめ全国で成果が出ている自治体の多くが
「地域住民=共通の発信者」
というSNS構造を作っている。
UGCを増やす施策例:
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ハッシュタグキャンペーン
-
地域イベントでのフォトスポット設置
-
地域の店舗・宿泊・企業との共同投稿
-
写真コンテスト
-
インフルエンサー招致(マイクロ含む)
UGCが流通すると、広告費を抑えながらも自然流入が増え、自治体のSNS運用が“持続可能なモデル”になる。
④ 広告×SNSのハイブリッドで“成果”につなげる
自然発信だけでは、ターゲットの属性に確実に届かない。
成功自治体の多くは、
●Meta広告(Instagram/Facebook)
●Google広告(YouTube/検索)
をうまく組み合わせ、
「地域の強み × 精度の高いターゲティング」
を実現している。
特に観光分野では、
・季節ごとの短期キャンペーン
・動画でのリーチ拡大
・訪日客(インバウンド)向けの英語発信
が大きな成果につながっている。
あなた(DWJ)なら
「SNS広告の少額・高効率運用」
を提案パッケージ化することで、自治体側の“明確な予算化”を促すことができる。
⑤ 運用体制とガバナンスを整え“自治体内で続けられる運用”にする
SNS運用は、担当者一人では継続できない。
成功自治体の共通点は、
●役割分担(編集・撮影・投稿・分析)
●内部規定の整備
●危機管理マニュアル
●住民クレーム対応のプロトコル
がしっかりしている点にある。
近年の自治体では、
「SNS更新が止まった」「担当者が異動して終わった」
というケースが多いため、
運用体制の設計=DWJが最も価値を出せる領域
として提案すべき大項目だ。
■ 自治体SNSは“地域経済政策”である
SNSを「広報手段」と捉えると小さな成果しか出ない。
成功する自治体は SNS を 地域経済政策の中核 と位置づけ、観光・移住・子育て・企業誘致などの政策効果を最大化するための“メディア”として活用している。
あなたの担当領域(中国・四国・北陸・兵庫)でも、
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観光資源の豊富な県(広島・香川・徳島)
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移住促進が伸びている県(島根・鳥取)
-
文化資本が豊かな県(石川・富山)
は特にSNS活用による伸びしろが大きい。
DWJとしては、
「SNS × 観光」「SNS × 関係人口」「SNS × 移住」
の3本柱を軸にした統合パッケージ化が非常にフィットする。
■ まとめ
本稿で紹介した成功事例の共通点は、
①目的の明確化
②高品質クリエイティブ
③住民参加型のUGC
④広告の活用
⑤自治体内での運用体制整備
である。
これらを押さえることで、自治体SNSは単なる情報発信から脱却し、“成果を生み続ける地域の成長装置”へと変わる。
2026年以降、各自治体のSNSはさらに重要な戦略領域となるため、DWJとしてもこれらの成功ポイントを組み込んだ提案が、案件化・継続化の鍵となるだろう。





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